このページでは、種牡馬・シュヴァルグランの現役時代の走りから、血統構成、これまでの傾向やこれから考えられる産駒特徴、さらには馬券のヒントについてまとめています。
プロ野球界の大魔神こと佐々木主浩さんの所有馬で、現役時代は33戦7勝。
デビュー2戦目で勝ち上がり、京都2歳Sで3着になるものの、クラシック戦線には乗れず。
勢いが出始めたのは3歳秋からで、1勝クラスから3連勝。
4歳に入り、日経新春杯2着、阪神大賞典で初重賞制覇を飾ります。
この年の秋にはアルゼンチン共和国杯も制し、すっかりと古馬GⅠでも馴染みの存在となりますが、以降はなかなか勝ち切れない競馬が続きます。
5歳シーズンは、秋に京都大賞典3着のあと、H.ボウマン騎手とコンビを組んでジャパンカップに参戦。
最内枠から5番手でポジションを取りつつもピッタリと折り合って進め、直線では先行馬の間を突き、最後はキタサンブラック捕え、迫るレイデオロを抑え、初GⅠ制覇を成し遂げます。
しかし、現役時代の勝ち星はこれが最後。
以降は7歳まで活躍を続けますが、一つこの馬の特徴ともいえる勝ち切れない面が目立ち、2019年の有馬記念を最後で引退となりました。
姉にはヴィルシーナ、妹にはヴィブロス、姪にはディヴィーナ、甥にはシヴァースと母のハルーワスウィートを起点に活躍を続けているファミリーです。
ハルーワスウィートは、種牡馬の良さを引き出す繁殖牝馬として名高く、シュヴァルグランの成長力もまさしく父ハーツクライ譲り。
5代母のBallade(バラード)は、超がつくほどの名牝で、ここを起点に世界各国であらゆる名馬が誕生しています。
4代母Glorious Song(グロリアスソング)の枝からはグランドオペラやラーイ、シングスピールといった世界を舞台に活躍を続けた有力馬が送り出されており、現代競馬においてもまだまだ活力のあるファミリーです。
名種牡馬の条件として、よく語られるものの中に
「名牝系、繁殖能力の高いファミリーラインの出身であれ」
という言葉が存在しますが、シュヴァルグランはこの点に関しては、全くの不足なし。
現状、同じハーツクライ産駒の後継では、スワーヴリチャードにリードを許している状況も、まだ後継争いは始まったばかり。
ジャスタウェイも巻き込んで、どこまでハーツクライの最有力後継争いに加われるのか、これからも注目です。
・晩成型が見込まれるとはいえ低調
・思うようなダート適性を持つ馬が出てこない
・牝馬はマイル以下でも対応が叶いそう
ハーツクライ産駒らしく、完成までに時間がかかるタイプが多いことが予想されますが、初年度産駒は中央競馬で108戦3勝と大分厳しい数字。
ここから勝率、連対率、複勝率いずれも全体的に上方しそうではありますが、現状としてはハッキリ狙い撃ちできる条件がなく、スロースタートとなってしまっています。
ダートの中距離、未勝利戦なら中山や阪神のダ1800mで勝ち上がるような産駒のイメージもしていましたが、ダートでの勝ち星は中央競馬ではなし(地方では8勝)。
Machiavellian(マキャヴェリアン)を持つので、もっとダート適性に優れた産駒も出てくるかなと予想していましたが、現状としてはダートでの成績はイマイチです。
ミスタープロスペクター由来のダート適性というよりかは、Machiavellianの欧州的芝適性のほうが産駒には強く出やすいのかなと仮説を立てておきます。
勝利こそないものの、昨年1600m、1200mで結果を残したのはいずれも牝馬。
1800m以上は牡馬中心と、牡牝でこれから適性が別れやすくなるかもしれません。
・やはり成長待ちの産駒は多いだろう
・繁殖牝馬の色を出しやすい
・決め手比べで争っていくならストームキャットの血が欲しい
身が入るまでに少し時間はかかりそうだなというタイプは多いでしょう。
このページでは先にも紹介しましたが、ハーツクライ産駒は成長力が魅力。
一方で、工夫なしではクラシックに間に合わないという弱点も存在していました。
シュヴァルグランはその傾向を強く継いでいると思われるので、よく言えば成長力といえますが、悪く言えば時間がかかるというもの。
一口馬主では長く楽しめるという捉え方もできますが、一方で未勝利を脱出できず地方転出への覚悟も必要になる産駒は多くなるのではと考察しています。
ハーツクライ譲りの成長力ほか、シュヴァルグラン産駒の特色としてこれから考えられそうなのは、繁殖牝馬の色を出しやすい種牡馬になるのではということ。
母のハルーワスウィートが種牡馬の適性を強く引き出す馬だっただけに、その点がシュヴァルグランに種牡馬として引き継がれているような気がします。
繁殖の質次第では大舞台で長く活躍できる産駒が登場しても驚けません。
これはシュヴァルグラン自身もあまり得意ではなかった末脚比べ。
タメてキレる脚を東京や京都の長い直線で繰り出すのであれば、ストームキャット、デインヒル系、ないしはハービンジャーを持つ繁殖が必要になってくるかなと思います。
・力の要る馬場で狙う
・開催終盤などの時計がかかる芝で
まだまだ産駒の成績が思うように出ておらず、具体的な数値では紹介しきれず、予測中心となってしまいますが、シュヴァルグラン産駒はあまり時計勝負が得意ではないと思います。
芝コース稍重、重馬場くらいの条件で今後期待値がさらに上昇することを予想します。
イメージとしては、年明けの小倉、秋の新潟、福島の開催が終盤となり、純粋なスピード勝負ではなくなった際に出番が巡ってくるかなというものです。
昨年中に唯一1勝クラスを突破したシュヴァルグラン産駒で、現状としては出世頭。
Glorious Songの5×5という名牝クロスが特徴的。
母父Starspangledbanner(スタースパングルドバナー)は、デインヒル系らしくオーストラリアの1200~1600mGⅠを4勝。
メリオーレム自身はデビューから堅実に走り、重馬場もクリア。
芝2000mで結果を残していることからも、父の個性を色濃く受け継いでいるタイプといえると思います。
好位からしっかり流れに乗れるセンスの良さを活かしてどこまで頑張れるかに注目です。
母はイルーシヴキャットで、イルーシヴパンサーの妹。
日本芝競馬においては、しっかり対応できそうな綺麗な血統構成。
まだ未勝利も2戦目2着の際は、抜けだす脚は速く、しっかりとした決め手がありそうなタイプ。
順調にいけばこのクラスは突破できそう。
南関東競馬川崎からも一頭。
モンゲースパイはとにかくテンに速いタイプ。
ゲートから動けるその特性を活かして、2歳重賞ゴールドジュニアでは2着に粘りこみました。
以降900mで1勝。
1200mまで守備範囲として見たいですが、理想的な運びではないと結構脆いタイプで出走の際は並びなどはしっかり吟味すべきでしょう。
シュヴァルグラン産駒は繁殖の特性を引き出すかも、という発想のきっかけはこの馬から。