札幌競馬場は直線266.1m・ほぼ平坦・洋芝100%という、JRAでも珍しい組み合わせのコースです。
コーナーが他場の約1.3倍長い円形に近い形をしていて、条件は7コースに共通しています。
この7コースを4角の位置取りで切り分けて並べると、4角で先頭に立った馬の複勝率が7コースすべてで50.0%以上でした。
距離も面も関係なく、札幌は前に行った馬が止まりません。
この記事でわかること
| コース | 1周 | 直線 | 高低差 |
|---|---|---|---|
| 芝 | 1,640.9m | 266.1m | ほぼ平坦(1m未満) |
| ダート | 1,487m | 264.3m | ほぼ平坦 |
右回り。
直線266.1mはJRAで函館に次いで短い部類で、しかもゴール前に坂がありません。
上り坂で脚を使わされる場所が最後まで出てこないコースです。
もうひとつの軸が洋芝100%(JRAでは函館と札幌だけ)という馬場です。
野芝より時計がかかってパワーが要るぶん、平坦で直線が短いという形と合わせて、前に行った馬をつかまえにくい構造になっています。
開催は夏の7〜9月だけなので、他場に比べるとどのコースも母数が小さくなります。
| コース | 1枠 | 2枠 | 3枠 | 4枠 | 5枠 | 6枠 | 7枠 | 8枠 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 芝1200m | 22.1% | 20.4% | 22.4% | 26.1% | 22.4% | 17.8% | 21.5% | 26.3% |
| 芝1500m | 24.2% | 33.9% | 19.1% | 26.5% | 23.3% | 27.3% | 23.0% | 26.7% |
| 芝1800m | 32.3% | 33.8% | 22.0% | 29.5% | 20.2% | 25.8% | 34.7% | 29.4% |
| 芝2000m | 29.5% | 22.5% | 23.8% | 18.8% | 18.6% | 23.9% | 25.2% | 17.4% |
| 芝2600m | 10.3% | 29.6% | 28.3% | 18.4% | 32.0% | 24.1% | 20.0% | 24.6% |
| ダ1000m | 19.6% | 24.0% | 30.0% | 17.6% | 26.7% | 26.6% | 31.9% | 30.1% |
| ダ1700m | 26.4% | 18.0% | 19.8% | 19.5% | 25.3% | 25.4% | 23.2% | 25.1% |
芝を縦に見ると、最高の枠が芝1200mは8枠26.3%、芝1500mは2枠33.9%、芝1800mは7枠34.7%、芝2000mは1枠29.5%と、コースごとにばらばらでした。
中山や東京のように「この場の芝は内(外)」とひとことで言える形にはなっていません。
コーナーが他場の約1.3倍長い円形に近い形なので、外を回された距離ロスが他場ほど積み上がらないのがその理由かなと。
ダートも同じで、ダート1700mは1枠26.4%が最高・2枠18.0%が最低、ダート1000mは7枠31.9%が最高・4枠17.6%が最低と、内外で向きがそろいません。
目を引くのは芝2600mの1枠10.3%で、これは7コースの全枠を通じて最も低い数字です。
ただし芝2600mは3年で29レースしかなく、1枠に入った馬もそのぶんだけです。
札幌の枠は、複勝率だけを見て内外を決め打ちしないほうがよさそうです。
| コース | 1枠 | 2枠 | 3枠 | 4枠 | 5枠 | 6枠 | 7枠 | 8枠 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 芝1200m | 72% | 57% | 59% | 74% | 78% | 91% | 73% | 71% |
| 芝1500m | 57% | 110% | 47% | 64% | 63% | 79% | 106% | 90% |
| 芝1800m | 105% | 68% | 58% | 57% | 43% | 74% | 102% | 79% |
| 芝2000m | 157% | 77% | 81% | 45% | 84% | 72% | 116% | 68% |
| 芝2600m | 25% | 100% | 117% | 76% | 70% | 76% | 45% | 94% |
| ダ1000m | 68% | 81% | 62% | 40% | 84% | 84% | 52% | 77% |
| ダ1700m | 86% | 64% | 51% | 68% | 121% | 83% | 58% | 60% |
表を見ると100%を超えたセルが9つあります(芝1500mの2枠110%・7枠106%、芝1800mの1枠105%・7枠102%、芝2000mの1枠157%・7枠116%、芝2600mの2枠100%・3枠117%、ダート1700mの5枠121%)。
ただしこの9セルを1つずつ調べたところ、7セルは高配当1本を抜くと100%を割りました。
札幌は夏の3か月だけの開催で1枠あたりの母数が小さいので、大穴が1頭飛び込むだけで数字が跳ね上がります。
表の色は素の回収率で付けているので、色が付いていても実体が伴わないセルがあるという前提で見てください。
消えた7セルの中身は次のとおりです。
左の数字が表の値、右が最高配当の1走を除いた値です。
つまり「芝1500m・1800m・2000mの7枠がそろって100%超」という並びは、3コースとも別々の大穴1頭が作ったものでした。
3つ並ぶと傾向に見えますが、中身は共通していません。
ここから7枠を買う根拠は出てきません。
残った2セルはこちらです。
芝2000mの1枠は157%、最高配当を除いても103%を保ちます(除いた1走は2023年8月12日の未勝利で16番人気・単勝261.2倍のパラダイスシティが複勝5250円)。
この枠は複勝率29.5%もコース最高で、走っているのに評価が追いついていない形です。
円形に近い札幌では外差しの絵が決まりやすく、そのイメージが人気に織り込まれるぶん、内でタメて出てきた馬が見逃されているのかなと。
もうひとつがダート1700mの5枠121%で、除いても106%(除いた1走は2024年8月24日の新馬で9番人気のキミオモウハナの複勝4220円)。
この枠は3年で277頭ぶんと、100%を超えた9セルの中で母数が飛び抜けて厚いのに数字が落ちません。
9セルのうち最も信用できるのはここです。
逆に芝1200mとダート1000mは、全8枠のどれも100%に届きません(最高は芝1200mの6枠91%、ダート1000mの5枠・6枠の84%)。
距離が短いほどレースに占めるコーナーの割合が上がり、枠の差が結果より先に人気へ反映されている、という読み方ができます。
こちらは1本依存とは逆に「どの枠も回収できていない」という消し方向の話なので、そのまま使えます。
まとめると、札幌で枠から入れるのは芝2000mの1枠とダート1700mの5枠の2つだけです。「芝の中距離なら枠で買える」と広げると、ほとんどが1本依存のセルを拾うことになります。
| コース | レース数 | 4角1番手 | 4角2〜4番手 | 4角5〜9番手 | 4角10番手以下 |
|---|---|---|---|---|---|
| 芝1200m | 72R | 51.4% | 35.9% | 21.0% | 4.7% |
| 芝1500m | 64R | 50.0% | 41.0% | 18.2% | 7.1% |
| 芝1800m | 65R | 64.6% | 44.3% | 16.1% | 4.3% |
| 芝2000m | 67R | 55.2% | 40.8% | 15.2% | 4.4% |
| 芝2600m | 29R | 55.2% | 38.7% | 21.4% | 0.0% |
| ダ1000m | 51R | 64.7% | 43.0% | 16.4% | 3.8% |
| ダ1700m | 144R | 66.0% | 44.8% | 14.3% | 2.0% |
4角で先頭にいた馬の複勝率は、最も低い芝1500mでも50.0%、最も高いダート1700mで66.0%。
7コースのどれを取っても、先頭の馬は半分以上が3着以内に残っています。
とくにダート1700mは4角先頭66.0%・2〜4番手44.8%がどちらも札幌で最高で、3年で144レースと母数も7コースで最も厚いコースです。
前に行った馬から入るという型が、いちばん安心して使えるのがここになります。
後ろは苦しく、4角10番手以下はダート1700mの2.0%から芝1500mの7.1%まで。
芝2600mは0.0%と出ていますが3年で29レースなので、届かないコースだと決めつけるのは早いかなと。
ただ全体として、直線266.1mで坂もない以上、追い込みに賭ける根拠は札幌では見つけにくいところです。
| コース | レース数 | 1番人気 勝率 | 1番人気 複勝率 |
|---|---|---|---|
| 芝1200m | 72R | 30.6% | 58.3% |
| 芝1500m | 64R | 45.3% | 68.8% |
| 芝1800m | 65R | 36.9% | 75.4% |
| 芝2000m | 67R | 36.4% | 66.7% |
| 芝2600m | 29R | 27.6% | 58.6% |
| ダ1000m | 51R | 35.3% | 66.7% |
| ダ1700m | 144R | 36.0% | 67.3% |
最も堅いのが芝1500m(勝率45.3%)、最も飛ぶのが芝2600m(27.6%)です。
芝1500mは札幌にしかない距離で、比べる舞台を他場に持たない馬同士が集まるぶん、力量差がそのまま出やすいのかなと。
おもしろいのは芝1800mで、勝率36.9%は平均的なのに複勝率75.4%は7コースで最も高い数字になっています。
勝ち切るかどうかは読みにくいが崩れはしない、という形なので、ここは単勝より複勝やワイド、3連系の軸として使うほうが噛み合います。
芝2600mの27.6%は3年で29レースぶんの数字なので、傾向として頭に置く程度にとどめたいところです。
| 種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ドゥラメンテ | 15-7-10-55/87 | 17.2% | 36.8% | 97% | 115% |
| ロードカナロア | 14-12-6-94/126 | 11.1% | 25.4% | 57% | 55% |
| キズナ | 13-12-11-90/126 | 10.3% | 28.6% | 76% | 78% |
| ゴールドシップ | 13-13-15-110/151 | 8.6% | 27.2% | 53% | 121% |
| キタサンブラック | 11-12-10-42/75 | 14.7% | 44.0% | 206% | 146% |
| モーリス | 11-11-10-92/124 | 8.9% | 25.8% | 38% | 56% |
| スワーヴリチャード | 10-6-3-45/64 | 15.6% | 29.7% | 82% | 48% |
| サートゥルナーリア | 10-4-5-20/39 | 25.6% | 48.7% | 162% | 133% |
まず押さえたいのは、この芝の8頭と次のダートの8頭で、重なる種牡馬が1頭もいないことです。
洋芝100%の芝と時計のかかるダートで、求められるものがはっきり分かれています。
着順の強さで見るとサートゥルナーリアが勝率25.6%・複勝率48.7%でどちらも表の最高、次いでキタサンブラックの複勝率44.0%です。
時計のかかる洋芝で長くいい脚を使える血が上に来ています。
ただし回収率は額面どおりに読めません。
キタサンブラックの単勝回収率206%は、2023年8月20日の1勝クラス(芝2000m)で14番人気のワレハウミノコを104.6倍で勝たせた1走が、単勝配当の67.7%を占めた結果です。
この1走を除くと68%まで落ちます。
一方で複勝回収率146%のほうは同じ1走を除いても111%を保つので、キタサンブラックは単勝ではなく複勝で拾う馬という整理になります。
サートゥルナーリアの単勝162%も、2025年の北辰特別で7番人気のボンドロア(16.5倍)が単勝配当の26.1%を占めます。
ただし除いても123%は残る形です。
3年で39頭ぶんしかないので、母数が増えれば動く数字ではあります。
いちばん素直に使えるのはドゥラメンテの複勝回収率115%で、2023年9月3日の1勝クラスで8番人気のゲンパチムサシ(21.8倍)を除いても105%。
複勝率36.8%と合わせて実体があります。
逆にゴールドシップの複勝回収率121%は要注意です。
2024年7月27日の3勝クラスで7番人気のフェアエールング(16.7倍)を除くと87%まで落ちます。
表では100%超ですが、妙味とは呼べません。
ロードカナロア(単勝57%)とモーリス(同38%)は、走るぶん人気になりすぎる典型です。
| 種牡馬 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ヘニーヒューズ | 11-5-2-37/55 | 20.0% | 32.7% | 110% | 69% |
| ドレフォン | 9-8-12-72/101 | 8.9% | 28.7% | 55% | 69% |
| リオンディーズ | 8-3-3-37/51 | 15.7% | 27.5% | 221% | 94% |
| シニスターミニスター | 8-10-4-37/59 | 13.6% | 37.3% | 77% | 85% |
| ルヴァンスレーヴ | 7-3-2-34/46 | 15.2% | 26.1% | 112% | 151% |
| リアルスティール | 7-2-3-36/48 | 14.6% | 25.0% | 62% | 53% |
| ホッコータルマエ | 7-11-4-26/48 | 14.6% | 45.8% | 333% | 156% |
| パイロ | 7-2-3-26/38 | 18.4% | 31.6% | 116% | 82% |
ダートはホッコータルマエが複勝率45.8%で表の最高、勝率ではヘニーヒューズの20.0%が頭ひとつ抜けています。
ヘニーヒューズ・シニスターミニスター・パイロというダート専門の血に、リオンディーズやルヴァンスレーヴのような芝血統からの流れが混ざる顔ぶれです。
なお回収率100%超がついた5頭(ヘニーヒューズ・リオンディーズ・ルヴァンスレーヴ・ホッコータルマエ・パイロ)は、最高配当を出したレースが5頭ともダート1700mでした。
ダートの派手な数字は、事実上この1コースから出ています。
その派手な数字も1本で動いています。
ホッコータルマエの単勝回収率333%は、2024年7月27日の未勝利(ダート1700m)で12番人気のダイタジャスティスを104.6倍で勝たせた1走が単勝配当の65.4%。
ただしこの1走を除いても単勝118%・複勝133%と、どちらも100%を保ちます。
札幌でこの条件を満たしたのはこの1頭だけで、ダートで回収率から入るならホッコータルマエです。
リオンディーズの単勝221%も、2024年8月4日の未勝利で9番人気のソルアマゾン(43.5倍)が38.6%を占めますが、除いても139%が残ります。
ここも数字が生きています。
反対にルヴァンスレーヴの単勝112%・複勝151%は、2025年7月26日の新馬で8番人気のテイエムキハク(23.7倍)を除くと62%・61%まで崩れます。
表では複勝回収率151%と最も派手ですが、実体は1走です。
ヘニーヒューズの単勝110%も、2023年のエルムSで6番人気のセキフウ(12.3倍)を除くと89%。
パイロの116%も、2023年9月3日の未勝利で6番人気のレオキー(12.3倍)を除くと85%です。
ヘニーヒューズは勝率20.0%という着順の強さで買う馬で、配当妙味で買う馬ではありません。
| 騎手 | 着別度数 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 横山武史 | 49-50-36-173/308 | 15.9% | 43.8% | 80% | 79% |
| 武豊 | 40-26-20-153/239 | 16.7% | 36.0% | 90% | 71% |
| 佐々木大 | 36-26-34-255/351 | 10.3% | 27.4% | 77% | 79% |
| 丹内祐次 | 35-41-52-280/408 | 8.6% | 31.4% | 89% | 80% |
| 横山和生 | 28-17-19-117/181 | 15.5% | 35.4% | 101% | 86% |
| 鮫島克駿 | 24-27-31-191/273 | 8.8% | 30.0% | 37% | 70% |
| 北村友一 | 21-17-13-106/157 | 13.4% | 32.5% | 109% | 107% |
| ルメール | 17-16-14-52/99 | 17.2% | 47.5% | 53% | 78% |
勝ち星の数では横山武史(49勝・複勝率43.8%)が最も多く、次いで武豊(40勝・勝率16.7%)です。
ただし横山武史の単勝回収率は80%、武豊も90%なので、成績どおりに人気を集めていて妙味という面では平均的かなと。
表で100%を超えているのは北村友一(単勝109%・複勝107%)と横山和生(単勝101%)の2人ですが、どちらも中身を開けると妙味は残りませんでした。
北村友一の数字は、2024年9月1日の2勝クラス(芝2000m)で10番人気のソリダリティを56.1倍で勝たせた1走が、単勝配当の32.9%を占めた結果です。
この1走を除くと単勝73%・複勝86%まで落ちます。
表では単複そろって100%超ですが、そのまま買える根拠にはなりません。
横山和生の単勝101%のほうは1本依存ではなく、最高配当(2023年8月19日の未勝利で7番人気のマテンロウカノン・25.9倍)が占める割合は14.1%にとどまります。
ただしその1走を除くと88%で、そもそも101%はトントンの水準です。
札幌の騎手表に「回収率で買える騎手」はいないと考えたほうが安全です。
選ぶなら着順の安定で、ルメールの複勝率47.5%が8人で最も高く、横山武史の43.8%が続きます。
ルメールは単勝回収率53%なので、買うなら複勝側です。
ここまでは7コースを横に並べた比較です。
各コースの脚質・枠順・血統・前走条件までの掘り下げは、下の個別記事にまとめています。
ダート2400m(3年で6レース)は母数が薄すぎるため、この記事の横断比較からは除外しています。
札幌は夏開催だけなので、どのコースも他場よりレース数が少なくなります。集計が進んで傾向が変わった箇所は、更新の際にあらためて触れていきたいと思います。