この記事では、種牡馬ブリックスアンドモルタルについて記載しています。
「ブリックスアンドモルタル」という言葉は、「煉瓦 (れんが) と漆喰 (しっくい) 」を意味し、実店舗やオフィスを構えた建物を指します。
アメリカでは歴史と実績をもつ大企業を指す言葉として用いられています。
これまでの産駒成績
【参考】ブリックスアンドモルタル産駒の成績
着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|---|---|
56-42-47-430/575 | 9.7% | 17.0% | 25.2% | 68% | 79% |
・1600~2000mでの活躍目立つ
・比率としては芝馬の方が多い
・芝の同距離起用で成績上昇(特に牝馬)
初年度産駒初期の頃は、好位抜け出しの王道競馬パターンで勝ち上がる産駒が多くみられる傾向にありましたが、この半年間で様々に傾向にも変化が表れています。
まず、1600m以下の成績が良いブリックスアンドモルタル産駒ではありましたが、ここにきて2000m前後でも活躍馬が出てきています。
ストームバードが強調された血統であるものの、牝系自体は体力面に優れている構成ですし、今後は2400mまで間に合うかもという産駒もコンスタントに出てきそうですね。
また、ダートよりも芝で活躍する産駒が明らかに2年目にして増えてきました。
配される繁殖牝馬の質がこういった傾向を後押ししている感じはあります。
サンデーサイレンス系統やディープインパクト系の主張の強い感じの牝馬相手だと芝馬が出る率が高いかもしれません。
初年度産駒ではイーグルノワールやアンモシエラといったダートで活躍する産駒も出てきました。
共通して牝系にロベルトを持っているので、これが一つダートで活躍するか否かのカギになるヒントと仮定してみています。
以前は、距離短縮が好成績と書いていましたが、一概にそうとは言えない傾向と変わってきました。
繁殖牝馬の色もしっかり出すタイプの種牡馬とみるべきというのが、現状の種牡馬・ブリックスアンドモルタルの見方です。
これから予測される産駒傾向
・母父ディープインパクトで芝1600m~2000mで大物が出るのは自然な流れ?
・ダートで走るサンデーサイレンス系との相性に期待
・それ以外ではマイル前後での先行型がほとんどか
初年度産駒ではコンバデカーブースやイーグルノワール、更にはアンモシエラと重賞を既に3勝を挙げる活躍ぶり。
いずれもタイプが異なる馬ですので、判断が難しいところではありますが、初年度を見る限りは“ブリックスアンドモルタル自身のらしさ”というよりかは“Storm Bird”の主張が強い印象を受けています。
ただ、コンバデカーブースが現状芝での末脚勝負でも結果を出せているように、母父ディープインパクトの形で芝マイルから2000mを主戦場とする大物が出てくる可能性が十分にあります。
元より、サンデーサイレンス系やディープインパクトと掛け合わせても強いインブリードにならないという点をかなり評価され、国内供用へ至っていると思うので、今後もディープインパクト系の繁殖牝馬と交配を続けていけば、能力の高い馬が出てくるのは、ある種自然の流れとも言えるでしょう。
ディープインパクト以外で今後期待していきたいのは、ダートを得意とするサンデーサイレンス系。
フジキセキやゴールドアリュール、アグネスタキオンを持つ繁殖牝馬とは、先行型に出やすいブリックスアンドモルタルとの相性が良く、ダート競馬で活躍馬が送り出されるのではないかと予想しています。
現に1月の船橋ブルーバードカップを制したアンモシエラの母父はゴールドアリュール。
牝馬ながら牡馬相手に砂圧12cmのコースで力でねじ伏せたわけですから、芝だけではなくダートでの素質馬にも今後大きな期待がかかります。
ブリックスアンドモルタル産駒の特注条件(2024年1月末までのデータ参照)
・芝の内枠(1~4枠)で4番人気以内
・ダートで前走の上り3F3位以内を狙う
・出走数の多い芝1600m、1800m戦では1~3番人気を信頼
芝の内枠で上位人気(4番人気以内)
◆芝の内枠(1~4枠)で4番人気以内
まず芝のレースでは、内枠に入った人気馬についてはある程度信頼しても良さそうです。
着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|---|---|
20-6-5-32/63 | 31.7% | 41.3% | 49.2% | 162% | 78% |
この半年間で一気に勝ち星を重ねてきたブリックスアンドモルタル産駒。
特に1番人気の信頼度が高く、枠に拘らずともベタ買いで集計期間内はプラスになっています。
ダートで前走の上り3F3位以内を狙う
続いてダートにおけるデータ。
着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|---|---|
7-3-5-22/37 | 18.9% | 27.0% | 40.5% | 165% | 111% |
前走ダート戦で、上り3Fが出走メンバー中3位以内の馬は率も回収率も優秀。
これまでの成績を見ると、水を含んで「重」発表になっても差し込んで来るパターンがあるので、よほど前が止まらない馬場でなければ要チェックです。
芝1600m、1800m戦では1~3番人気を信頼
上位人気に推された際の芝1600~1800m戦での成績が良好。
芝1600~1800m | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 21-6-4-7/38 | 55.3% | 71.1% | 81.6% | 124% | 102% |
2番人気 | 8-6-2-17/33 | 24.2% | 42.4% | 48.5% | 95% | 78% |
3番人気 | 7-5-3-20/35 | 20.0% | 34.3% | 42.9% | 142% | 76% |
上でもご紹介しましたが、1番人気の成績がかなり安定しています。
今年の1月にこの記事を書いた頃は、1番人気成績があまり良くなかった点が特徴の一つでしたが、この半年間で大きくその傾向にも変化が見られました。
ブリックスアンドモルタルの現役時代
キャリアは13戦11勝、3着2回。
主なタイトルは
・ブリーダーズカップターフ(芝2400m)
・アーリントンミリオン(芝2000m)
・ターフクラシックS(芝2400m)
・ペガサスワールドカップターフ招待S(芝1900m) 他
3歳の2月と少し遅めのデビューとなったが、4連勝で一気に重賞ウィナーへ。
その後、歩様の矯正を行うため外科手術を受けることになり休養に入りますが、4歳12月末に復帰。
そのは一度も負けることなく、持ち前の瞬発力で上記のGⅠを次々と制覇。
2019年のアメリカ年度代表馬、最優秀芝牡馬に選出されています。
また現役のうちから社台ファームに日本での繁殖入りオファーを受け、これが承諾されています。
2019年ブリーダーズカップターフ。
ブリックスアンドモルタルはサムネ中央の赤と白の帽子。
ブリックスアンドモルタル血統背景
父のジャイアンツコーズウェイは、ストームキャットの代表産駒とも言える一頭。
自身は現役時代は愛国、仏国、英国、米国で9勝を挙げ、ダートを舞台にしても連対を外さなかったスーパーホース。
産駒には、ブリックスアンドモルタルの他にも、国内では
スズカコーズウェイ(2009年京王杯スプリングカップ)
エイシンアポロン(2011年マイルCS 他)
エイシンジーライン(2012年小倉大賞典)
といった短~中距離を舞台に活躍馬が出ています。
母のBeyond the Wavesは、仏国と米国で現役時代を過ごした馬で、通算3勝。
主な実績としては、仏国リステッド競走のP.DES TOURELLES(芝2400m)1着。
GⅡ・ロワイヤリュー賞(芝2400m)2着やGⅢのコリーダ賞(芝2100m)、フロール賞(芝2100m)
血統評論家の方々の書籍を拝読すると、スタミナ寄りの構成と書いてあることもありますが、その理由は母系から。
母母父のExcellerは独国由来のクロスの強い馬で、現役時代はステイヤー。
この馬の存在がスタミナ寄りと評される由来に。
Storm Birdの3×3という強めのインブリードで、この影響が産駒にも強く伝わり、どちらかというと短距離寄りの産駒が多く出ていると推測しています。
今後期待の産駒
ひねりがなく、上記でも名前を出した3頭になってしまいました。
アンモシエラ
曾祖母にはトゥザヴィクトリーを産んだフェアリードールを持ち、ダートを走る上ではかなり理想的な血統構成。
父からは序盤から出して行けるダッシュ力、そしてここにゴールドアリュール、更にはタニノギムレットを経由してのロベルトを持ち、構成上は相当なパワー型。
砂圧12㎝の船橋競馬場で、牡馬相手でも差し切れる底力は、この血統でなくしてはできなかった芸当でしょう。
馬群の中で、砂を被る競馬もクリアしてきましたし、この時の毛ヅヤに関しては正直一息。
まだ奥がありそうです。
ただダート競馬は2024年より競走体系に大きな変革が起こりましたが、牝馬の競走体系については、特に中央所属馬にとっては、まだまだ整備されているとは言えません。
今後どのようなローテーションを刻んでくるのか読めませんが、時計の出やすいダートよりかは深いダートでの活躍により期待がかかります。
コンバデカーブース
デビュー戦とは一転して、2戦目となったサウジアラビアRCでは、向正面で最後方までポジションを下げる場面も。
しかし、4角から直線で外に出されると、段々と加速し、最後は完全に抜けきっての勝利。
トップスピード自体はしっかりあるものの、それに至るまでに少し時間を要し、ただ一度加速すれば簡単に止まらないという点から、今後も東京コースや阪神外回りを中心に活躍を続けていくのかなと考えています。
堀厩舎ですから大事に使われるでしょうし、今年中にどこまで軌道に乗れるか分からない部分もありますが、牝系を考えれば今後2000mまでは守備範囲になるのかなというイメージを受けます。
イーグルノワール
昨年冬の川崎競馬場で行われた全日本2歳優駿では、フォーエバーヤングとの勝負付けが済まされてしまった印象はありますが、だからと言って当然見限れるような存在ではなく。
血統面では4代母には海外から遠征し94年の京王杯スプリングカップを制したスキーパラダイスがおり、そこから代を重ねていっても牝系の影響は色濃く、短距離型に出る馬が多めです。
イーグルノワールも例外ではなく、さらに父にブリックスアンドモルタルを配されているわけですから、1600mまでの馬であると考えるのが自然でしょう。
現状、春の大目標としては園田の兵庫チャンピオンシップになると思われます。
今年から距離も1400mに変わりますし、この舞台のほうが東京ダービーより適性が合うに違いありません。
ブリックスアンドモルタルの関連馬
◆大系統‐ストームキャット系
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