この記事では、種牡馬ニューイヤーズデイについてまとめています。
既に米国供用時代には、2年目のシーズンで米GⅠ4勝馬であるマキシマムセキュリティという大物を送り出した同馬。
日本の競馬シーンにどのような影響をもたらすか注目です。
現役時代
北米で3戦2勝のキャリア。
2歳8月のデビュー戦でこそ2着に敗れたものの、2戦目を勝利で飾ると、次走では素質を陣営に評価され、一気にBCジュヴェナイルに挑戦。
これまでの2戦がAWであり、初ダートという背景もあり人気はそれほどなく、日本でいう単勝では11.5倍の支持でしたが、直線ではポッカリ空いた内を突いて突き抜けての優勝。
大変力強い勝ちっぷりでした。
しかし、直後に骨折が判明。
これを受けて陣営は引退の判断に。
僅か3戦のキャリアながらも彗星が如く活躍で、種牡馬入りが決定しています。
血統背景
ミスタープロスペクターとヘイルトゥリーズンの他に、名牝ナタルマの5×5のクロスを持つというオシャレ構成。
父であるストリートクライはドバイワールドカップ優勝馬。
牝馬で強烈な産駒を送り出しており、これまでにはゼニヤッタやウインクスといった最強と名高い牝馬たちの父でもあります。
牡馬においてもケンタッキーダービー馬であるストリートセンスを出し、近年の米国競馬シーンを支える一頭でした(2014年に死亡)
母であるジャストホイッスルディキシーは、
ポニーミスS(ダ1700m)
ダヴォナデイルS(ダ1600m)
など北米のGⅡを2勝。
祖母のジェネラルジーンからは、重賞勝ち馬が複数登場しており、牝系としての力も十分も見せています。
構成上からは牝系が短距離志向が強めに対し、父系はダート中距離型。
自身が2歳までのキャリアしかないので、判断が完全につくわけではありませんが、適性としてはダート短中距離型、ゆくゆくはマイルあたりが一番得意になっていたであろうと推察できます。
ニューイヤーズデイ産駒のこれまでの傾向
【参考】ニューイヤーズデイ産駒のこれまでの成績
(集計期間:2023.6.4~2024.3.1)
勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|---|
11.9% | 23.7% | 33.8% | 75% | 82% |
・やはり勝ち星はダートが多い
・人気を集めた際は堅実
・マイルから1800mかけて良績集う
やはり勝ち星はダートが多い
血統のイメージからもダートを使われることが多く、結果もそれに比例している印象です。
日本の初年度からもバロンドールが出てきていることからも、今後もダートを中心に考えようという関係者の方は少なくないと思います。
3番人気以内の支持を集めた際の成績
勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|---|
28.2% | 46.2% | 60.3% | 108% | 94% |
全体のベタ買い成績も複勝率は30%超えとかなり優秀ですが、人気を集めた際は、馬券に絡む率が大きく上昇。
勝率約3割は心強い数値。
マイルから1800mかけて良績集う
集計期間内の勝ち星は26勝。
その約半数にあたる14勝が1600mから1800mで挙げられています。
母系次第な面は当然ありますが、距離適性自体はどんなに長くとも2000m前後が妥当と考えられます。
これから考えられる傾向
・地方競馬との相性が?
・日本芝適性はサンデーサイレンス系が入らないことには補えない
・距離の限界は2000mまで
地方競馬との相性が?
先日、船橋競馬場で行われたブルーバードカップではバロンドールが参戦。
人気を集めたものの、最後の直線では先行馬を捕まえきれず僅差3着に敗れました。
これまでこなしてきた1800mの舞台でしたが、最後の最後で甘くなったのは砂圧12cmが影響もありそうです。
どうやら産駒は軽いフットワークの馬が多く、芝で卸され、結果が伴わずダートへというパターンで結果を出してきています。
日本芝適性を補うにはサンデー系が必要
ニューイヤーズデイは、サンデーサイレンス系をはじめとして、キングマンボ系やサドラーズウェルズ系、ストームキャット系といった現在の日本競馬における主要血統との組み合わせにかなり幅の効く面がかなりの魅力です。
しかし、自身の構成はかなりダートのスピード競馬に寄ってしまっているので、日本の高速芝に対応するためにはサンデーサイレンス系を持つ繁殖牝馬との交配が必要不可欠な条件でしょう。
サドラーズウェルズやデインヒルといった欧州の芝適性の高い馬との組み合わせで補う方法も考えられますが、そういった産駒は、どうしても主要場の瞬発力勝負でワンパンチ不足な競馬が目立ち、ローカル芝やダートで使われることになると思います。
小倉の芝では、時折ダート血統馬が穴を開けまくるパターンがありますが、その際にニューイヤーズデイ産駒も一緒に成績を残すことができるのかに一つ注目です。
距離は2000mまで
2000m以上を走る産駒が出るのであれば、繁殖牝馬が欧州血統の鈍重であることが条件。
基本的には1800m以下が得意な馬がほとんどと考えていいでしょう。
スピードを活かしたサラブレッドを送り出したいと生産サイドの方も考えるでしょうから、基本的にそうした組み合わせの馬を見ること自体が今後も少ないと思います。
ニューイヤーズデイ産駒を馬券で扱う上でのヒント
・距離延長には弱い
・前走人気薄(6~9番人気)の激走
・距離短縮した上での上位人気(1~3番人気)
距離延長には弱い
勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|---|
7.5% | 15.1% | 17.0% | 31% | 31% |
一応の勝ち星はありますが、血統構成的にもやはりスピードが勝っているタイプなので、距離延長には向かないという考察ができます。
シンプルに外枠を狙い撃ちする
◆5~8枠に入った際の成績
勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|---|
14.9% | 27.2% | 39.5% | 111% | 100% |
回収率は芝のほうが優秀なものの、複勝率は芝もダートも差がないので、狙いの条件として取り上げます。
1番人気×外枠の際はさらに安定感が増し、複勝率は集計期間内では80%をマークしています。
距離短縮した上での上位人気(1~3番人気)
勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
---|---|---|---|---|
42.1% | 52.6% | 57.9% | 171% | 88% |
距離延長では、奮わないということをお伝えしましたが、一方で短縮に関しては強いニューイヤーズデイ産駒。
特に短縮した上での上位人気に関しては、勝率がグッと上昇する傾向が出ており、回収率も悪くありません。
![筆者](https://thoroughbredskills.com/wp-content/uploads/umachanai-e1708820877673-150x150.webp)
ニューイヤーズデイ産駒は、短縮に強く、延長に弱いということを覚えておくだけでも馬券のヒントになるかもしれません。
これから注目の産駒
バロンドール
曾祖母にはドリームジャーニーやオルフェーヴルを産んだオリエンタルアートを持ち、母父はルーラーシップで、キングカメハメハ、更にはトニービンも内包しているかなり筋の通った血統馬。
初戦からダートで卸されるも、そのフットワークの良さから一度は芝も試されました。
これまでの戦績の中では1勝クラスでの勝ちっぷりが素晴らしく、4角での加速の仕方は非凡さを感じさせるもの。
重賞初挑戦となった船橋のブルーバードカップでは、初ナイターとコース加え、遠征、左回りと初物尽くしの影響もあったのか、わずかの差3着に。
この経験が次につながってくることが期待されます。
トラぺジスト
ダートで卸されてから芝へシフトした同馬。
2月4日の小倉未勝利戦(芝1200m)では念願の初勝利を挙げました。
この馬の強みは、なんといってもスタートが速いこと。
母がルシルクということなので、重賞勝ち馬・グランシルクの弟にあたります。
血統的にも今後もスタートの良さを活かして前半のアドバンテージで押し切る競馬が合っていそうです。
キレ味勝負になりやすい馬場よりかは、まさしく初勝利を挙げたような小倉のダート血統も走れる芝でこその馬でしょう。
スピニングガール
南関東競馬、大井所属からも一頭候補を上げたいと思います。
スピニングガールは、6代母がハイクレアという名牝系。
ファミリーの分枝にはディープインパクトやブラックタイド他、日本では多くの活躍馬が名を連ねています。
地元で戦っていくには、素質の高さは充分も、少し距離適性の壁がありそうなのが懸念点。
コーナー4つよりかは、ワンターン戦で良さが活きてきそうなタイプです。
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